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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


ラフカディオ・ハーン『怪談』(ちくま文庫)

 ラフカディオ・ハーン=小泉八雲『怪談』読了。
 最近寝る前に読んでいるアンソロジー中島河太郎、他の編纂による『現代怪談集成(上)』というのがあるのだが、この巻頭に小泉八雲の「破約」が載っている。この印象があまりに強烈だったので、あらためて小泉八雲の怪談を読み直したくなり、たまたま買ってあったちくま文庫の『怪談』を読んでみた。

 ところが残念なことに、“恐怖”という括りで読むのなら、実は「破約」ほど強烈なインパクトのあるものはなかった。
 しかし、まとめて読んであらためて思ったのは、(手垢がついた表現で恥ずかしいけど)やはりハーンは日本人以上に日本人的な人物だったのだということ。人間の心や自然の持つ不思議な力を、コンパクトながらゆったりと、ときには鮮烈に、そして美しく語ることのできる人はそうそういまい。場面場面がすぐに絵に浮かぶ。そういう魅力がある。
 「耳なし芳一」や「むじな」「雪おんな」などのメジャー級はもちろん知っていたが、「これもハーン?あれもハーンかよ?」というのがけっこう多く、なかなか勉強にもなった。今さらながらラフカディオ・ハーンがいかに日本に根付いているのかを再確認した次第である。お恥ずかしい。
 なお、本書は平易な現代語訳がなされており、読みやすいことは読みやすいが、少々印象が軽くなるのは残念。多少は読みにくくても旧仮名遣いの方が雰囲気は出るだろうに。


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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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