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エリザベス・デイリイ『予期せぬ夜』(ハヤカワミステリ)
社会思想社が事実上の倒産らしい。またミステリ界にとって暗いニュース。社会思想社のミステリボックスといえば、今のミステリファンにはカドフェル・シリーズが最も有名だろうが、かつては小栗虫太郎や夢野久作や橘外男、山田風太郎など国産作家の選集なども盛り沢山で、古典ブームの前はここでしか読めないものも多かった(なんせ黒岩涙香の妙な妾論みたいなものもあったはず)。今では絶版も多く、古書価格はけっこうなものだが、これからは現役だったミステリボックスもそれなりのお値段になるのだろう。うう、憂鬱。買うなら今のうちだな。
さて、本日の読了本はエリザベス・デイリイの『予期せぬ夜』。
アガサ・クリスティが最も愛した作家ということらしいが、確かにそのテイストはクリスティと共通する部分が多く、アメリカの作家とは思えないほど英国趣味に溢れている。それがいい意味でも悪い意味でも顕れた作品。
穏やかな文体、まったりしたストーリー展開、上品な登場人物たち。あまり動きもなく、正直前半はやや退屈したが、ラストの衝撃はなかなかのものだ。なるほど、そう来るか。なかなかやるじゃないですか。それまでが大人しいだけに(いや、実際は割と動きがあるのだが、いかんせん語り口が静かなのでどうしてもそういう印象を抱いてしまうのだ)、けっこうラストはインパクトあり。
翻訳はあと『二巻の殺人』があって、長らく積読中なのだが、実は評価はこちらの方が高い。こりゃさっさと読まなければ。
さて、本日の読了本はエリザベス・デイリイの『予期せぬ夜』。
アガサ・クリスティが最も愛した作家ということらしいが、確かにそのテイストはクリスティと共通する部分が多く、アメリカの作家とは思えないほど英国趣味に溢れている。それがいい意味でも悪い意味でも顕れた作品。
穏やかな文体、まったりしたストーリー展開、上品な登場人物たち。あまり動きもなく、正直前半はやや退屈したが、ラストの衝撃はなかなかのものだ。なるほど、そう来るか。なかなかやるじゃないですか。それまでが大人しいだけに(いや、実際は割と動きがあるのだが、いかんせん語り口が静かなのでどうしてもそういう印象を抱いてしまうのだ)、けっこうラストはインパクトあり。
翻訳はあと『二巻の殺人』があって、長らく積読中なのだが、実は評価はこちらの方が高い。こりゃさっさと読まなければ。
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