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横溝正史『横溝正史自伝的随筆集』(角川書店)
『横溝正史自伝的随筆集』(角川書店)を読了。これはすごい。正直ちょっと感動した。
かつて横溝が残した数々のエッセイ。これらを集めて自伝として読めるように構成した随筆集が本書である。
大きく分けると前半が中学頃までの思い出、後半は乱歩に出会って以降の回想となる。はっきり言って後半は特別新味があるわけでなく、他の書籍でもわりと簡単に読むことができる内容だ。だが前半は違う。雑誌「幻影城」で連載され、途中で中断したものだけにそうそう読む機会はないうえ、あまり語られることのなかった幼少から中学生あたりにかけての話である。
しかも内容がまたすごい。私小説がウリの純文学系作家ならいざ知らず、すでに名声を確立したエンターテインメント作家のものとは思えないほど赤裸々に過去を暴露してゆくのだ。駆け落ちした両親、早くに亡くなった母親、父親の再婚、兄弟姉妹への複雑な感情、正史自身の盗癖や初めての夢精、マスターベーションにふける毎日……。いやというほどのコンプレックス、自己嫌悪を、まさか横溝正史がかつてここまで克明に綴っていたとは知らなかった。
ミステリに関する話は、幼少の頃なので決して多くはないのだが、それでも金田一耕助の吃音癖の由来や『八墓村』の小梅、小竹ばあさんのモデルの話なども出てくるため、見逃すことはできない。
とにかく、あらためて横溝正史は偉大なのだと実感。横溝ファン必読。
かつて横溝が残した数々のエッセイ。これらを集めて自伝として読めるように構成した随筆集が本書である。
大きく分けると前半が中学頃までの思い出、後半は乱歩に出会って以降の回想となる。はっきり言って後半は特別新味があるわけでなく、他の書籍でもわりと簡単に読むことができる内容だ。だが前半は違う。雑誌「幻影城」で連載され、途中で中断したものだけにそうそう読む機会はないうえ、あまり語られることのなかった幼少から中学生あたりにかけての話である。
しかも内容がまたすごい。私小説がウリの純文学系作家ならいざ知らず、すでに名声を確立したエンターテインメント作家のものとは思えないほど赤裸々に過去を暴露してゆくのだ。駆け落ちした両親、早くに亡くなった母親、父親の再婚、兄弟姉妹への複雑な感情、正史自身の盗癖や初めての夢精、マスターベーションにふける毎日……。いやというほどのコンプレックス、自己嫌悪を、まさか横溝正史がかつてここまで克明に綴っていたとは知らなかった。
ミステリに関する話は、幼少の頃なので決して多くはないのだが、それでも金田一耕助の吃音癖の由来や『八墓村』の小梅、小竹ばあさんのモデルの話なども出てくるため、見逃すことはできない。
とにかく、あらためて横溝正史は偉大なのだと実感。横溝ファン必読。
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