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 先日読んだ『雪の死神』の主人公は、障害にめげず前向きに生きようとするヒロイン。陰惨な事件を扱いながら、どことなく清々しい印象を受けるのも、キャラクターの魅力によるところが大きい。一方、本日読了したポール・ギャリコ『スノーグース』の主人公ラヤダーは、障害のために人との接触を嫌って隠遁生活を送る男である。
 全然ミステリーじゃないし、しかも何を今さらって感じの本ですが、一応あらすじを紹介すると……。

 障害を持つ画家ラヤダーは、美術と動物を愛する穏やかな性格ではあるが、その容姿ゆえに人との関わりを嫌い、灯台小屋でひっそりと日々を送っている。そんな彼の元へ、傷ついたスノーグースを治してもらいに少女がやって来た。女性との接触は最も苦手とする彼だが、スノーグースの治療をきっかけにその少女との間に交流が生まれ、やがて治癒したスノーグースが渡ってくる季節だけではあるが、ラヤダーと少女の交流も確かなものに変化してゆく。しかし時は戦時中。二人にも戦争の悲劇が襲いかかる。ラヤダーは敵に包囲された兵隊を救うため、命をかけて救援に旅立つのだ。一羽のスノーグースと共に……。

 まさに大人の童話。大人のためのファンタジー。
 渡り鳥の目印のために羽先を切って飛べなくした鳥を飼うなど、「おいおい、それが動物好きのすることか」って、ツッコミをいれたくなるところもあるが、細かいことはいいでしょう、この際。これは生きることの価値や真実の愛を高らかに謳う美しい物語なのである。
スノーグースはラヤダーと少女をつなぐ絆であり、二人の心を表す象徴でもある。最後にスノーグースが空高く舞うシーンなど絵がまざまざと心に浮かぶようで、何とも詩的で絵画的な作品。
 人殺しの話ばかりじゃなく、たまにゃ心洗われる物語もいいもんです。


テーマ:ブックレビュー - ジャンル:本・雑誌





歩く果物さん

コメントありがとうございます。
『スノーグース』、いいお話ですよね。ポール・ギャリコだと『雪のひとひら』はお読みになりましたか。こちらも負けずに美しいお話ですので、未読でしたらぜひどうぞ。
【2011/08/03 00:18】 URL | sugata #8Y4d93Uo[ 編集]

スノーグース大好きです。
とっても綺麗なお話でした。

ラストシーンの
""good-bye my love""
はとってもとっても素敵でした。
【2011/08/02 23:45】 URL | 歩く果物 #mB.BT9Ic[ 編集]















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