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 本日の読了本はヘンリイ・スレッサー『グレイ・フラノの屍衣』。先日亡くなった短編の名手による長編第一作。有名な作品だが、恥ずかしながらずっと積読だった。

 ストーリーはこんな感じ。主人公は広告代理店に勤務する将来有望な青年。おりから一大キャンペーンをうっている食品会社の担当を任されることになる。しかし、そのキャンペーンにはどうやら不正があるらしい。青年はキャンペーンの担当として仕事を進めながらも、その裏を探ろうとする。しかし広告の元担当カメラマンが死亡したのを発端に、青年にも魔の手が迫る……。

 洗練された文章と味付け。広告業界を舞台にしていることもあって、ひとつひとつの場面はイキイキとした印象を受ける。会話は楽しいし、当時の広告業界の雰囲気もよくわかる。
 しかし残念ながらこちらの精神状態がイマイチなせいもあってなかなかノレない。ただ、すべて気持ちのせいかというと、あながちそうもいえないだろう。特に物語の序盤は全体に状況説明が乏しく、そのくせ登場人物が入れ替わり立ち替わり出てくるため、一見テンポはよさそうだが意外に読みにくいのである。

 また、軽みがこの作家の持ち味だが、それが長編になるとコクのなさばかりが目立ってしまうのもいただけない。例えは悪いかも知れないが、この感じはエドワード・D・ホックを読んだときの物足りなさとよく似ていると思う。
 そんなこんなで読後の印象は残念ながらいまひとつ。スレッサーの真価はやはり短編で発揮されると見た方がよいのだろう。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌



















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